1.医療費控除の確定申告で払った税金が戻る

2.しないと損する還付申告(e-Tax申告
3.妻のパート年収103万円の壁もっと注意すべきは壁は
4.増税による家計負担 今こそすべき節税対策とは?
医療費控除の確定申告で払った税金が戻る

 病院にかかる治療費や処方薬および市販の風邪薬や胃腸薬等の医療費は、毎年
累計するとけっこうな額となっていることがあります。
 この医療費控除の制度は、医療費が一定の額を超えた場合、超過した額を控除し
家計の経済的負担の軽減を図ることを目的としています。

 以下は、「医療費が毎年けっこう多い」と感じている方に医療費控除の確定申告を
お奨めします。

 (医療費控除を受けるための条件)
 対象:  同一生計の親族が対象で各自の医療費を合算できます。
       (所得制限はありません)
 計上時期: 暦年ベース(1月〜12月)の1年単位で計上
        ※支払/給付ともに、すべて医療費が発生した月が計上月
        ※例えば、12月に医療費をクレジットカードで支払った場合、通常
          翌月決済されますが、その医療費は12月に含めて計上します。
          給付がある場合でも同様に、翌月に受給した場合も12月の計上
          となります。つまり実際に病院にかかった月が支払/給付の計上月
          となります。
 提出期限: 還付申請書の提出期限は翌年1月〜5年間有効ですので、この間
         はいつでも申告ができます。

 <支払額> 支払をした場合
  医療費控除の対象となる主な項目
   通常の治療費、診察費、施術費、入院費、手術費、処方薬代等の医療費、
   市販の薬代、通勤にかかった交通費(電車、バス等の領収書は不要)、
   歯の治療(金歯も対象)

  医療費控除の対象とならない主な項目
   人間ドック(但し、検査で病気が発見された場合は対象となる)、健康増進
   のためのビタミン剤、治療と関係ないマッサージ代、歯石除去、
   歯の矯正(子どもの矯正は対象)、メガネ・コンタクトレンズ、マイカーで通院
   する場合の交通費、他

 <給付額> 給付を受けた場合
  医療費控除額の算定に含めなくてよい項目:
   出産手当金、傷病手当金、会社等のからの見舞金、他

  医療費控除額の算定に含める項目:
   健康保険などで支給される出産育児一時金・高額医療費・家族療養費、
   医療保険などで補てんされる入院給付金、他

 (医療費控除額算定の仕組み)
  控除限度額: 2百万円

 「源泉徴収税額」-「(支給額-給付額)-「10万円 or 総所得額等x 5%」
                                ↑
                            どちらか小さい額
 総所得額: 申告者の年間給与所得の源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」
         欄の金額と企業年金・個人年金等を受給している場合は
        (収入額-必要額)の合計額
        ※注意点:源泉徴収税額と総所得金額等は、申告者1名で、同居
          家族に所得がある場合も含めない。 
        ※総所得金額等はサラリーマンの場合、主に給与所得・雑所得を例
          として挙げている。

 (確定申告の手続き)
  ・医療費の支出を証明する書類(原本)を用意する。
   病院等の領収書、処方薬の領収書、市販薬の領収書に連番を付し、パソコン
   または手書きで一覧表を作成する。その際、記録しておく項目は、支払年月日、
   医療機関・薬局等の名所・住所、症状、支払額等。
  ・サラリーマンの場合、毎年会社から提出される「年間給与所得の源泉徴収票」
   や企業年金や個人年金と受給している場合の「源泉徴収票」の原本を用意
   する。
  ・申告先は住所地を管轄する税務署

 e-Tax(電子申告)による確定申告は、税務署まで行く手間が省けること
 (医療費一覧表は領収書を添付のうえ郵送可、)電子証明書利用の特別控除
 (3千円)があることなどの利点もあり便利です。





しないと損 還付申告(e-Tax申告

 

 今は確定申告の季節。確定申告が必要な場合は細かな要件もありますが、ここでは給与所得者および年金受給者の還付申告を挙げてみます。


サラリーマンは一般的に給与支給時に給与所得税が源泉徴収(この場合、会社が社員(納税者)に代わって税務署に納税すること)されるため、自らが所得申告する必要がない。ただし給与年収額が2,000万円超の場合等は必要です。

 また年金受給者については、平成23年分以降の公的年金等の年金収入額が400万円以下、かつ、それ以外の所得金額が20万円以下の場合は確定申告する必要がなくなっています。 よってこれらに該当する人は税務申告の義務はありません。

しかし、サラリーマンの場合は、年末に会社から配布される年末調整票で一般生命保険料控除等について該当する項目を記載し、会社に提出する、それを基に徴収済みの所得税額が精算されます。


その他、医療費控除額、住宅ローン控除、※配当金控除などがある場合はもちろんその額にもよるが還付される可能性があります。

年金受給者にとっても、公的年金等で所得税額が源泉徴収されている場合、社会保険料控除(国民健康保険料、国民年金保険料等)、雑損控除、生命保険料控除、配当金控除などがある場合です。

 よって、医療費の自己負担額が多い、※住宅ローンの返済開始から10年以内、上場株式等において配当所得がある、配偶者などが国民年金を任意加入している等の場合は、一度、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を活用し電子申告することをお勧めしたい。

払い過ぎた税金は申告しなければ決して戻ってこないので、上記に該当する場合、一度試算してみる価値は十分にあります。

※住宅ローン控除の申告は1回だけでよく、次年度以降は自動的に控除されます。

 

なお、確定申告を正確に行うためには、毎年年末から翌年1月中旬までに郵送される公的・個人年金や保険などの支払証明書(明細書)等を大切に保管しておくことが必要です。

 

(作成上のよくある質問)

 

1:収入金額と所得金額の区別がよく解らない。

  収入金額は税金額や必要経費などすべての項目を含んだ総額(グロス)で表示されています。例えば、給与明細書上には、通常左上に「支払金額」、また年金の場合は、「年金支払額」と表示されています。

  所得金額は、給与所得の場合、「給与所得控除額(速算表)」、公的年金については、「公的年金等控除額(速算表)」、個人年金保険等は、「※必要経費」をそれぞれ差し引いた後の額が所得金額となります。

  ※必要経費:保険料支払額、保険契約関連費用(運用期間中の費用、年金受取期間中の費用)、運用されている投資信託の信託報酬や事務諸経費等


2:還付申告の提出期限は?

 還付申告は通常の確定申告と異なり、申告する年の翌年1月1日から5年間有効なので、余裕をもって申告書の作成が可能となります。


3e-Taxを利用する際の手続きが分らない。

  電子申告を利用する場合、先ず、@市区町村役場で「住民基本台帳カード」(ICカード発行手数料500円)を作り、公的個人認証サービスの利用を申請する。A同時に、電子証明書(有効期間は3年間、手数料500円)を発行してもらう。B電子申告用に※カードリーダライタ(公的認証サービス対応)を購入し、国税庁のHPからe-Taxの確定申告書作成コーナーにアクセスする。C開始届け出を@とBを使い作成を開始する。

  ※カードリーダライタは電器量販店などで3千円前後の価格で購入できます。

詳細については国税庁HP: 「確定申告書等作成コーナー」を参照されたい。


4e-Taxのメリットは?

 ・必要項目をインプットすれば還付金額が自動的に計算される。
 (税額が自動計算される)

 ・公的年金等の源泉徴収票、一般の生命保険料支払額等の証明書などの添付資料の提出が省略できる。

・郵送や税務署に直接出向く手間も省ける。

・最初の電子申告(e-Tax)を活用する場合、3,000円の特別控除が初回のみ受けられる。


5:所得控除額は全額が戻ってくる? 

所得控除のうち主なものは、基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除、医療費控除、雑損控除、生命保険料控除、※配当金控除などであるが、この控除額が直接所得税額から差し引かれ全額が戻ってくる訳ではありません。それを説明した算式は次の通りです。

給与所得額/総所得金額-所得控除額※課税総所得額
(※所得税率を掛ける前の金額)

なお、住宅ローン控除は、住宅借入金特別控除といい、控除額は所得税額が限度額なのでその額が所得税額を超えている場合、それ以上は還付されない。この点は注意が必要です。

   ※配当金控除は「特定口座の源泉徴収選択口座内の株式等
  の譲渡益による所得(売却益)」で、源泉徴収の選択「確定申告
  あり」の場合、配当金控除が受られるので、毎年郵送されてきます
  「特定口座年間取引報告書」で記載項目を確認の上申告可能である。


6:確定申告上、所得として計上できない項目は?

  銀行などの金融機関に預けている預貯金などの利息(利子所得)。これは源泉分離課税といって他の所得と分離して算出された所得税を源泉徴収して納税が完了する課税制度で、この他に公社債の利子、割引債の償還差益などがあります。

 


7:公的年金等はどの年金が含まれる?

  国民年金、厚生年金、共済年金等の他に、企業年金基金などが含まれます。






妻のパート年収103万円の壁 もっと注意すべき壁は?


 毎年、年末になるとこんな話題をあちこちで耳にします。サラリーマンの夫を持つ妻がパートをしている場合、「絶対に103万円を超えてはいけない!」と思っている方は実際多いはずです。

 しかし、気にしなければならない壁は103万円の他にもあります。それは100万円と130万円の壁です。

 

 まず、「なぜ103万円までの収入は所得税が掛らないのか?」ですが、この仕組みは給与収入額から“給与所得控除(1)65万円と“所得控除の基礎控除(2)38万円が自動的に差し引かれるので、103万円 −(65万円+38万円=103万円)= 0円(課税所得金額)となります。つまり103万円以下の給与収入は所得税を納めなくてもよい額となります。

 

103万円の前にある100万円の壁とは

 

 「このまま働くと12月末までには103万円を超えてしまう!」という場合、気を付けなければならないポイントは2つあります。

 

1つ目は、103万円の前に100万円を超えるかどうかを気にする必要があります。それは、給与収入額が100万円を超えると住民税が掛るからです。

 

住民税(3)は都道府県民税と市町村民税の2つからなり、合わせた税率は課税所得金額に対して一律10%、更に4千円が均等割と称して一律に加算されます。この均等割分は、たとえば課税所得金額が0円の場合でも課税されるので、この分は最低でも4千円は納税しなければなりません。

 

 2つ目は、夫の会社で“家族手当”や“扶養手当”が支給されている場合、妻(配偶者)の年収基準額を会社に前もって確認しておくことも必要です。妻の年収が会社の基準を超えた場合は手当がもらえなくなる可能性があるからです。

 

最も大きい壁は130万円

 

 次に130万円の壁ですが、それは妻の給与収入が130万円を超えると夫の扶養者と認められなくなるため、夫とは別に健康保険や厚生年金保険などの社会保険の加入条件が妻に加わります。

 

この場合は夫・妻両方の手取り額が減ります。計算上は妻の年収が150万円〜160万円以上ないと世帯の手取りの増加額が望めないという試算がありますが、これが一番大きな壁となります。

 

損得を判断するポイントは

 

@  100万円の壁の場合、例えば12月になって、1日〜2日働くと100万円をギリギリ超えてしまうような微妙なタイミングならば休暇取得(可能な場合)などで働く時間を調整するのが得策です。

 

A  103万円の壁〜130万円の壁の場合、妻の年収がこの範囲内の場合で、仮に夫の会社の家族・扶養手当などが支給停止になっても影響なければこの壁はクリアできます。

103万円を超えると、夫の会社で支給される配偶者控除は確かになくなります。しかし

それに代わり、支給額は段階的に減少(38万円〜3万円)しますが配偶者特別控除(夫の給与所得1千万円以下要)が受けられます。

 

 このように、妻の年収額は、上記条件をクリアできたならば103万円より130万円までを目安とする方が検討に値すると考えられます。

 

 これらの制度は、国が進めている女性の社会進出支援と矛盾しますが、現状の仕組みを理解し、最大限に活用した働き方をしたいものです。

 

1:事業所得でいう必要経費的な意味合いで給与収入額に応じて控除額が決まって  います。給与収入額が162.5万円までは計算上65万円の控除が適用されます。

2:収入額に関係なく一律に認められている控除額です。
3:住民税の納付は、前年分(1月〜12月)の所得額を基準に納付通知書が市区町村  から送られてきます。納付時期は毎年6月からです。

※このブログはWeb情報誌「マネーの達人」および「マイナビニュース」に
に寄稿されています。



増税による家計負担増 確定申告不要な人でも税金が戻る節税
対策とは?


 復興特別所得税の創設や厚生年金保険料、国民年金保険料の値上げ、更に来年4月からの消費税率(5%から8%)の引き上げなど、国の増税策は今やめじろおしの状況です。

 

家庭では増税分をカバーするため「支出をできるだけ抑え節約をする」と考えている方が多いと思いますが、実はもう一つ策があります。それは納付している税金を払い戻すことです。つまり、個人が負担した費用について、それが税金を控除する項目に該当すれば申告することによって税金が還付される仕組みです。

 

ここではサラリーマンなどの給与所得者や退職後の年金受給者のように確定申告が不要な人でも、申告することによって税金が戻る節税対策を説明します。

 

確定申告が不要な人とは

 

一般的に給与年収が2,000万円以下のサラリーマン、及び平成23年分以降の公的年金等の年金収入額が400万円以下の年金受給者、かつ、それら以外の所得金額が20万円以下の場合などです。

 

還付申告(確定申告)をした方が得する例(目安)

 

☆医療費の自己負担額が多い(医療費控除)

 ※家族全員の医療費をまとめて年間10万円程度が目安

☆住宅ローンの返済開始から10年以内(住宅ローン控除)

※住宅ローン控除の申告は1回だけでよく、次年度以降は“年末調整”の提出で済みます。

☆自己資金で耐震・省エネ・バリアフリー改修工事を行った(投資税額控除)

☆上場株式等の株式配当金を受け取っていて総合課税を選択した、又は株の売却損がある場合配当金との損益通算の申告分離課税を選択した

☆台風・水害等の災害や盗難などで被害を被った(雑損控除)

☆年の途中で退職し年末調整をしていない

☆定年退職者及びその配偶者などが健康保険や国民年金に任意加入している

(社会保険料控除)

☆公共団体等への寄付やふるさと納税をした(寄付金控除)

☆公的年金受給者のうち企業年金や個人年金などの受給の際、所得税が源泉徴収されている

 

申告の方法については

 

 先ずは確定申告書を作成することが必要ですが、ここでは国税庁のホームページから「確定申告書等作成コーナー」の電子申告、通称e-TAXの利用をお勧めします。

 

e-TAXを利用する利点は

・必要項目をインプットすれば税金額が自動的に計算されるので計算式を知らなくても大丈夫なこと

・添付資料の提出が省略できること

・郵送や税務署に直接出向く手間も省けること、等

・記載ミスや漏れ等の申告後の訂正も“上書き”する感覚で可能です。

 

還付申告(確定申告)に必要な手続き

 

 e-TAXを利用する場合、先ず、市区町村役場で「住民基本台帳カード」を作り、公的個人認証サービスの利用を申請し電子証明書を発行してもらいます。次は電子申告用に※カードリーダライタ(公的認証サービス対応)を購入(価格は3千円前後)します。これが準備できたならば、次は国税庁のHPからe-Taxの確定申告書作成コーナーにアクセスし、作成を開始します。

 

なお、申告を正確に行うためには、毎年年末から翌年1月中旬までに郵送される公的・個人年金や保険などの支払証明書(明細書)、株式の場合、年間取引報告書等、医療機関に掛かった場合、その領収書や処方代、市販の風邪薬や胃腸薬などを購入した場合もその領収書等です。したがって申告に必要なこれらの書類は捨てないで大切に保管しておくことです。

 

還付申告の提出期限は?

 

 還付申告は通常の確定申告と異なり、翌年の年明けから5年間有効なので、余裕をもって申告書の作成や内容の検討が可能となります。よって、先ずは確定申告の作成にゆっくり挑戦してみてください。

作成に際して解らないことがあれば近くの税務署に直接電話、相談窓口で質問や申告作成の指導を受けることができます。

 

還付申告で注意すべき点は?

 

 ここで注意したいのは、確定申告書を作成して税金が戻ってくる場合でも、確定申告によって住民税の増加や扶養控除が無くなるなど、結果として増税になるデメリットも考えられるので、特に納税者が世帯に複数いる場合、誰が申告するのかも含め、世帯全体でみてそのメリットがあるかを計算して、見極めることも必要です。

 

一度試算してみる価値はある

 

「税は難しい!」と決めつける前に、上の“還付申告をした方が得する”項目に該当する場合は、一度、確定申告を積極的にトライすべきです。戻ってくるべきお金が仮に10万円あったとしても、なにもしなければ1円足りとも戻ってきません。

 

つまり、「払い過ぎた税金は申告しなければ決して戻ってこないので税金の還付を受けるためには、まず試算してみましょう。“節税”を家計の“節約”の項目に加える価値は十分にあるはずです。

 

 

※この記事はWeb情報誌「マネーの達人」、「マイナビニュース」に
  寄稿されています。
 


        

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