1.子供の学習費・学生生活費調査結果

2.子供の教育費は一体いくら掛るか?

3.教育資金をどう準備するか

4.教育資金捻出のため どのような節約があるか?


1.子供の学習費・学生生活費調査結果

【家計の見直し 教育費を考える】

幼稚園(3歳)から大学卒業までの19年間で子ども1人当たりに掛る教育費総額は、
938万円〜約2,647万円といわれている。

最低額は幼稚園〜大学まですべて公立、また最高額はすべて私立で、しかも大学は親元を離れ下宿暮らしをした場合の生活費を含めた額となっている。

教育費の費用項目については、公立・私立別で幼稚園〜高校までの授業料・入学金・通学用品および学用品などの学校教育費および塾、家庭教師、けいこごとなどの学校外活動費、また大学の場合は、公立・私立別で自宅から通学および下宿やアパートから通学する場合の年間教育費を次に纏めている。
                                          (単位:千円)

   幼稚園  小学校  中学校  高等学校  大学
 公立  私立  公立  私立  公立  私立  公立  私立  公立  私立
 教育費総額  232  538  304  1,465  460  1,279  393  923  -  -
 学校教育費等  148  386  97  881  167  1,000  238  685  -  -
 学校外活動費  84  152  207  584  293  279  155  238  -  -
 自宅から通学    1,086  1,693
 下宿・アパートから通学          1,710  2,363

出所:文部科学省が平成24年2月10日発表した「平成22年度”子供の学習費調査”」
  、および独立法人日本学生支援機構の平成22年度学生生活費調査より抜粋


 幼稚園から大学までを公立・私立のパターン別に表した場合の総教育費については次のとおり
                                   (単位:千円)

 幼稚園   小学校   中学校  高等学校   大 学  教育費総額 
 公立 
696
公立 
1,824 
公立 
1,380
公立  
1,179
私立 
 6,772
 11,851
 公立 
696
公立 
 1,824
私立 
 3,837
私立 
 2,769
私立 
 6,772
15,898  
 私立 
1,614
私立 
 8,790
私立 
 3,837
私立  
2,769
公立 
 4,344
21,354  
 公立
 696
私立 
 8.790
私立 
 
3,837
私立 
 2,769
公立 
 4,344
20,436  

 ※大学については、自宅から通学をした場合の学費・生活費の総額。




2.子供の教育費は一体いくら掛るか?

家計の見直し 教育費を考える

 

 教育に関係する支出は、子供のいる家庭にとって家計のなかで大きな割合を占めているが、子供を持つ親は「子供の将来のために出費は惜しまない、他のことは犠牲にしても、子供の教育だけは・・・」と考える親がほとんどだろう。

 

 しかし、将来的にはそうも言っていられないようだ。

消費税・所得税や社会保険料などの値上げが目白押し、それに伴い家計への負担が今後大幅に増えるからだ。

 

例えば消費税は今後20%になったと仮定すると毎月5万円近くの負担増という、総務省の試算だ。

再来年の4月から8%、その翌年の平成2710月からは10%。日本の財政はこの税率でもいずれ立ち行かなくなり、20%更にはそれを超える値上げも必至と見られている。

 

 それに加え、私立大学の場合、少子化とそれに反比例して新設大学の増加や学部増設の影響で、およそ半数近くが定員割れと聞く。この事象も結果として入学金や授業料の値上げ(経営維持のため)に跳ね返ることは容易に想像できる。

 

 子供の教育を最優先に考えることは確かに大切な事だ。しかしこの様な状況の下、教育に関わる出費を抑える工夫はどこかで必要になってくる。

 

 こども一人が幼稚園から大学まで掛る教育費総額は、文部科学省および日本学生支援機構の最近の調査によると、全てのコースを公立とした場合が1千万円、全て私立が2.4千万円

 

これは、入学金や授業料の他、給食費、学習塾代、お稽古代など、教育に関わるすべての総平均額だ。けれど大学で自宅外通学する場合、更に2.6百万円プラス、そして進むコースが医科系ならば更にコストは高くなるはずだ。

 





3.教育資金をどう準備するか

家計の見直し 教育費を考える

教育費が掛るこの年代(30代〜40)の家庭では、一般的に住宅資金も大きなウェイトを占めており、この二つライフイベントに関わる資金をどうやり繰りするか、最も頭を悩ます年代だ。

 

 まず、家計の収入・支出項目の棚卸をし、現状を把握しておく。そして必要な支出項目の優先順位を決め、資金を割り当てる。例えば、教育資金は、 “いくら”だけでなく“いつ”必要なのか、資金プランを立て、その時間軸に沿った資金準備が必要だ。

 

 以下は、教育資金の準備方法だ。

 

☆こども保険・学資保険

 

 この保険は、生保、損保JA、かんぽ生命(学資保険)などの金融機関が扱っている。この特徴として、加入時期は、子供が誕生した時から積立が可能で、満期は最長22歳、保険金額は主に2百万前後から3百万円、高校などの入学祝い金を支給する保険もある。

 

 親が死亡や高度障害になった場合は、それ以降の保険料は免除されるが、加入年齢や保険加入期間によっては払込み保険料総額(死亡保障コストが含まれているため)より受給総額が少ない、いわゆる元本割れというディメリットもある。

 

この様な留意点を踏まえ、加入を検討する際は、加入時期において契約者の親及び子の年齢が若いほど有利であるが、予定利率も他より高く、また加入済みの生命保険がある場合は保障内容との重複はないかなど、事前の確認が望ましい。
 またできれば、子供の入院特約や育英年金などの特約を付けない方が有利だ。

ただしこれらがクリアーされなければ、この保険にこだわる必要なない。

 

☆金融商品の運用

 

 子供の教育は、大学まで考えると20年を超える長期間だ。したがって資金は長期的視野に立って準備できるため、経済状況の変化を考慮し、リスクレベルの高い金融商品の運用も検討に値する。

とは言っても、その支出時期や金額は大凡予測可能なため、金融商品の選択においてある程度の安全性の確保を考えることは必要だ。

 具体的な商品としては、公社債投信、株式投信など毎月一定額の積み立てと、収益分配金があるファンドならば、それを再投資するやり方も試みたい。 

また今は円高だが「中長期的には円安」と予想されている。豪ドルや米ドルなどの外貨建て預金や外貨建てMMFで運用するのも、場合によっては一つの選択肢だ。

 

 

☆教育ローンの活用

 

 教育資金の不足額を補う方法の一つに教育ローンの利用がある。教育ローンには、国の他、民間の金融機関も数多く実施している。

国の借入要件は下表の通りだが、そのうち借入金利は固定の低金利、また年収要件については、子供の数に応じ世帯の年収限度額が1千万円前後なので多くが利用可能だ。


公的教育ローン

  融資期間   年収要件  返済期間  融資限度額
国の教育ローン  日本政策
金融公庫
   有  原則15年   300万円
※ 財形教育融資 雇用・能力
開発機構
   無  原則10年 財形残高の5倍
の最高450万円

※サラリーマンなど事業所で財形貯蓄に加入している場合に借入が可能

☆奨学金の活用

 

 奨学金制度は、公的機関および大学や育英団体などの民間機関それぞれに存在するが、なかでも公的機関の日本学生支援機構の奨学金制度が代表的だ。

 この制度は、「学習意欲をもつ生徒で、学生の経済的負担を軽減するため」を目的としている。

 

学生支援機構が実施する奨学金は第一種と第二種の二つあり、第一種が無利子で、第二種が年利3%上限の有利子(固定金利)が主な特徴だ。

対象は短大・大学・専修学校・大学院、留学(但し語学留学は対象外)。選考基準は人物・学力・家計の状況などによって採用の可否が判断されるが、第一種の方が無利子の分厳しい。

貸与額は第一種が月額30,000円〜64,000円、第二種が毎月30,000円〜120,000円と種類および公立・私立別にそれぞれ定められている。

使い道も入学金や授業料の他、下宿代や教科書代など幅広く、縛りはそうきつくない。

 

奨学金の返済は卒業後からだ。今後、卒業できない・就職できないなどのリスクも考えなければならないが、その当事者は当然子供となる。

この奨学金の活用効果は、単に教育資金の準備として有効なだけに止まらず、子の自立を促すよい機会ともなり、その利用価値は大きい。






4.教育資金捻出のため どのような節約があるか?

家計の見直し 教育費を考える

まず、家計における経費を固定費と変動費に分けて考える。

固定費は一律に掛る経費なのでこれ自体節約は原則不可能な費用、変動費は工夫次第では節約が可能な費用だ。

 

 しかし教育費の場合、固定費でも節約は可能だ。当たり前の事だが、公立・私立のコース選択を見直すことだ。

実際、公立の中・高は特にいじめ問題で敬遠されるため現実的には私立を選ぶ傾向が強い。

しかし上の調査のように公立と私立の差は約2.4倍。それに子供が二人・三人となればその額は言うまでもない。 

目指すゴールは中・高ではなく、大学や大学院のはずだ。家計が赤字の状況ならば、再考は必要だ。

 

 次は変動費。端的に言えば、学習塾代や家庭教師代を思い切って節約することだ。

私の知人でこれを実践した二つの家族から話を聞いた。

二つの家族とも子供が小学校から高校までの期間に、それぞれが学年でトップクラスに入り、一人は国立大学ともう一人が名門私立大学に見事合格している。

 

 その方法とは親が塾の先生や家庭教師になって子供に教えることだ。

といっても、これには長所や短所がそれぞれある。まずメリットは、何といっても節約、塾代のためにパートで働く必要がない、子供と一緒にいる時間がとれる、夜の塾帰りの不安が無くなる。

 

 一方、デメリットは、母親がフルに働いている場合などは実現が容易でない、親も子ども以上に勉強が必要、わが子なので感情的になり易く、イライラする、つい子供を叱ってしまう、等々、これは親も子もそれなりに覚悟が必要だ。

 そのなかで、子供に教えたことにより「家で塾を開く自信も付いた」と、これも二人の母親から共通して聞かれたことだ。

 

 参考までに、次の表は学習塾・家庭教師・通信教育などに関わる補助学習費の推移を表している。因みに、最も負担額が高い学年は、公立の場合、中学3年生の1年間で約32万円、私立は小学校6年生で約50万円。

      

 補助学習費の推移  (単位:万円)      

  公立 私立
小学校   0.9  29.6  
中学校 22.9 18.1
高等学校 12.5 18.8

出所:文部科学省の調査資料から抜粋で、学年毎
  に掛る年間費用の平均値。


 将来、老後資金を食い潰しその結果、家計破綻ということがないよう、教育にかけるコストと家計のバランスを考慮したライフプランを今から確り立てて見極めたいものだ。






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