1.地震保険の知っておくべき留意点   
2.竜巻被害が補償される保険と補償額 国の公的制度も知ろう
3.海外旅行保険の上手な活用法
4.保険の保障開始日を知ろう
5.保険の「告知義務」を知ろう
6.保険の「クーリングオフ制度」を知ろう

自然災害に備える 地震保険の知っておくべき留意点

  

 最近、「日本の至る所に活断層!」のニュースをよく耳にします。東日本大震災以降、大地震
の発生確率や頻度がより高くなり、また竜巻の脅威も加わって、私達の不安は増大するばかりです。

 

地震保険の加入を検討する際に知っておくべきことは、@地震保険は単体では加入できない
仕組みで、火災保険(主契約)とセット(付帯)が条件となっていること、A保険金額は建物・家財
の時価額でしかも火災保険金額の30%〜50%に限定されていること、B保険料が割高なこと
C政府管掌(国が保険料や補償内容に関する基準を定めている)の保険なので保険料や
補償内容は一律であること、等々。

 

@   地震は、建物や家財が壊れるだけでなく、噴火や津波が原因による火災や損壊などの
二次的な罹災が生じた場合補償されます。ただし地震による火災は火災保険では補償
されません。

A   保険金額は建物・家財に全損・半損・一部損の損害基準が設けられ補償額が算定され
ますが、問題なのは建物・家財の評価基準が時価であること。つまり、建物や家財を
購入時の価格(再調達価額)から経年による減価額や使用損耗額を差し引いた額とされる
ので、補償される保険金は住宅や家財を最初に購入した額より低くなります。

B   保険料は、建物の構造・所在地に応じて算出され、また住宅の耐震性能によって
10%〜30%の割引もありますが割高です。

C   地震保険の場合、保険料や補償内容はどの損害保険会社に加入しても同じなので
、保険会社を選択する手間が省けます。

 

 その他、地震保険は上述のとおり火災保険金額の50%が限度ですが、100%補償する保険
も東京海上日動から「超保険」の名称で販売されています。この場合は補償額も充実していますが、
その分保険料も高くなります。しかも補償額は時価評価なので、支給される保険金で住宅や家財を
原状復帰させることは無理です。

 

現在、地震保険に加入中または加入を検討している方は、万一の場合(災害の発生を今・5年後・
10年後等と想定)、いくらの補償額になるのかを事前に確認し、それに災害規模にもよりますが
仮設住宅や二重ローン対策など国の公的支援制度の活用、および自身の住宅ローンや貯蓄等
をトータルで考慮した上で、保険(契約金額は保険金額の30%〜50%の範囲で任意に契約可能)
を見直すことも必要です。

 

保険は家計に無理のない範囲で掛けるべきです。保険料負担で家計が苦しくなっては
全く意味がありません。




竜巻被害が補償される保険と補償額 国の公的支援制度も知っておこう!

  昨年に続き、今年は9月2日、埼玉県や千葉県で起こった竜巻は住宅の全壊・半壊など甚大な損害が発生しました。

 
 竜巻というとアメリカの中西部地域を連想しますが、この種の自然災害はもはや「対岸の火事」とは言っていられない状況にあると言えます。これは地球温暖化による影響が徐々に進行していることを容易に想像させる現象となっています。

 どの保険でカバーされるか

  竜巻の影響で損害を被った住宅や家財等に対する保険については、住宅火災保険、住宅総合保険、特約火災保険、自動車車両保険などに加入していれば基本的に補償が受けられます。

但し保険契約条項に「風水雪災害を補償する保険」であることを確認しておく必要はあります。

  補償額は、火災等による損害と同額の補償を受けられる場合が多いけれど、それと異なる補償体系を定めている保険(その場合、補償額が下回るケースが多い)もありますので、万一の時に備え、その補償額が資金的に足りうる額かを一度確認し見直してみることも大事です。

  それについては、お手持ちの保険小冊子「しおり」から契約内容をチェックするか、または加入している損保会社などに問い合わせすることも必要です。

 国の公的支援制度もある

  これらの災害に対しては、内閣府が定めた被害認定基準に基づき、被災地を管轄する市町村が被害認定を行った場合、自然災害において被災世帯を対象にした公的支援制度(被災者生活再建支援制度)があります。

これは同じ地域で一定の世帯以上の住宅が全壊・※半壊した場合に対象となる制度で、300万円を限度に支援金の給付が受けられます。

  またこの他に、被害を受けた地域の保険契約者に対し災害救助法が適用されます。この場合は加入している損害保険料の支払猶予や契約期間の延長などの制度があります。

  ただ、この制度は、阪神淡路大地震の際にできたので、地震による被害を対象としています。突風や竜巻のような自然災害は、地震と異なり、発生地域やその被害規模などが狭い範囲に限定される場合多いことが予想されます。たとえば、国の基準は「一定の世帯以上の住宅」は「10世帯上の住宅が全壊した場合」と定めています。今回のように、竜巻の被害がこれに満たず、適用除外の地域を管轄する幾つかの市区町村は、政府に支援を働きかけ行っているようですが、早急な支援の実施や制度の見直しが待たれるところです。

  いざという時のためにはこういった制度の存在について事前に知っておくことも大切です。

 ※半壊の場合は、住宅がかなりのダメージによりやむを得ず解体した世帯、住居不能の世帯、大規模な補修を行わなければ居住困難な世帯を対象に支給されます。


このブログは2013年9月3日付「マネーの達人」に寄稿しています。
内容を一部追加して記載しています。




万一に備えての海外旅行保険の上手な活用は

 海外旅行保険は、健保や国保でも海外療養費制度により保険が適用されますが、民間の保険会社などやクレジットカード会社の保険を併せて活用すると更に万全な対策となります。

 

(クレジットカード付帯の保険)

 先ず、現在加入しているクレジットカードに旅行保険が付帯されているか確認する必要があります。

補償内容はカード会社やカードの種類によって異なりますが、ゴールドカードと呼ばれる高い年会費のカードは一般的に補償が充実しています。 

保険適用期間は日本出発から最高3か月まで有効がほとんどです。

補償内容の一例としては、障害死亡・後遺障害で150万円〜1億円、治療費・疾病治療費で200万円前後、賠償責任で1億円程度、旅行品損害、救援者費用、等々。

このカードの大きなメリットは、無料で自動的に付帯されていることにあります。

また航空機や船の運賃・料金、パッケージツアー代などを事前にカード払いしている場合は、障害死亡・後遺障害が最高1億円までの補償額のカードもあります。

 更に、カードを複数持っている場合の補償も上記の※障害死亡・後遺障害を除き重複して請求できるのも特徴です。

 ※障害死亡・後遺障害は重複できず、カード会社の補償額のうち一番高い額が適用される。

(損保会社などの旅行保険)

 損保会社や旅行会社などが扱っている旅行保険は、渡航地域、期間、補償内容なども詳細に分類され、現地での対応も含め補償内容が最も充実しているといえます。 

また損保会社によっては、クレジット払い特約、インターネット特約などで通常料金より割安となる特典や保険項目別の補償額を自分で変えられるなどの利点もあります。

ただ保険料は、旅行期間(日本出発日〜日本到着日まで)に応じて料金が変わるので、滞在期間が長期になればその分費用負担も大きくなります。

(上手な活用法について)
そこで、保険料を安くすませる方法としては、自動的に保険が付帯されるクレジットカードを上手く利用することです。 それを念頭におき、特に医療費が高額となる欧米などに旅行する場合は、不足する補償項目や補償額を補うために民間の損保会社などの保険を利用することです。

それに加え、前述の国保・健保の海外療養費制度の活用も視野に入れ検討すれば、更に十分な備えになるといえます。

尚、適用される補償範囲や条件、また請求方法などの詳細については、各機関の窓口やHP等で問い合わせ・確認をしてください。




保険の保障スタート日を知ろう

 
 保険の保障が始まる日のことを「責任開始期」といいますが、その開始日
決定される条件は、次の通り、@保険申込みA告知(診査)
B保険料支払(初回)の3点が揃った時点()となります。

ただしガン保険の場合、一般的にこの日から3ヵ月間は保障されない期間
(免責期間)となります。この場合の※保障開始日は、正確にいうと、3ヵ月
経過後の翌日となります。

また上の3つのプロセスの他に保険会社の承諾があります。これは当然
のことながら保険契約成立の大前提となります。但し保障開始期や契約日
を決める際の条件にはなっていません。

 ※例えば、3点が揃った日が6月20日の場合、6月20日を含めて3ヵ月を
  経過した日
(9月19日)の翌日、9月20日が保障開始日に当たります。


(契約日と責任開始期(保障開始日)の関係は)

 このように保障開始日は申込んだ保険の保障が有効となる日ですが、

契約日は保障開始日と必ずしも一致しません。 

それは、支払方法によって異なります。 契約日は例えば、申込み、告知、

第一回の支払がともに完了していることが第一条件ですが、一般的に支払
年払いの場合は支払完了日月払いの場合は支払完了日の翌月1日
となっています。

 またクレジットカードの場合は、決済日でなくカードの有効性
(利用限度額や有効期限等)の確認日の翌月1日が契約日となっています。

 

(保険料の決定は契約日)

保険料は契約日時点での満年齢で決定されますので、年を重ねる毎に上
がります。

 特に終身の場合は、基本的に保険料が契約年齢時のままで変わらないため、
長期的にみればこの1歳の差の支払額は結構大きいものとなります。

有利な支払方法としては、一般的に年払い、クレジットカード決済、初回振り込み

(口座から自動振替は手続き上時間を要すため)などがあります。

仮に誕生日が近づいている場合は、誕生日の前に契約日となるかを確認
しておく必要があります。




保険について「告知義務」を知ろ

 告知義務とは、保険に加入する人(被保険者)が年齢、現在の

健康状態、病歴、職業などについて、告知書や保険会社指定の

医師による診査において正しく事実を告げることです。

告知事項は、それによって保険契約締結の可否や保険料率を

変更(この場合は高く)して受諾するかを決める重要な手続きの

一つとなります。

 告知の内容については一般的に保険によって違いますが、病歴

は過去5年間、現在の健康状態は過去3ヵ月間などの期間が対象

となっています。

 

また、告知に関して留意すべき点としては次のとおりです。

●告知は電話や営業担当者に口頭で伝えても有効でなく、告知義務

違反となります。但し、医師の問診に対して口頭で伝えることは有効です。

●保険加入者が故意または重大な過失によって事実を伝えなかった、

または虚偽(ウソ)の告知をした場合、保険会社はその契約を解除できます。

●保険会社は、契約日或は責任開始日から起算して2年経てば、たとえ

  告知義務違反をしていても契約を解除できないとされています。

  しかし、この2年間で保険を請求する事由が生じた場合、2年経過後

  であっても契約は解除できるとされています。

更に、刑法に該当するような詐欺や給付金の不正取得など悪質な

行為があった場合は、期間に関係なくいつでも解除できます。 

その場合は契約が無効となるばかりか払込済みの保険料も戻って

きません。

●告知書の内容についての疑問や不明な個所がある場合は、保険会社に

 事前に問い合わせしておくことが大切です。






保険の「クーリングオフ制度」を知ろう

  クーリングオフ制度とは保険契約を結んだ人が一定の要件を満たした場合、
無条件で 契約の申込みをキャンセルできることをいいます。  

 一定の要件とは、つまり、保険の申込み或は初回保険料の支払を行った後
でも 保険契約を撤回できる制度で、一般的に「保険の申込み日」又は「初回
保険料の支払日」 のいずれか遅い日からその日を含めて8日以内であったら
書面(当日の消印は有効) によりキャンセルできます。
 
 クレジット決済の場合は、「保険の申込み日」又はクレジット決済日でなく
「カードの有効性 (利用限度額や有効期限等)の確認日」のいずれか遅い日
からその日を含めて8日以内と 定めています。
ただ保険会社によっては8日以上のケースもありますので「ご契約のしおり ・
約款」で事前に確認しておく必要があります。

(書面による通告の記載内容)
 保険契約を撤回する旨の文言を記載、証券番号、住所、氏名、領収書番号、
保険会社の 担当者名、申込み日、申込みに使用した印鑑で捺印など。

(制度利用についての留意点)  
・キャンセルの方法については、必ず書面(内容証明郵便が望ましい)で行うこと

(撤回できないケース)  
 ・保険会社の営業所などで契約した場合。  
  また自らが指定したその営業所や自宅を除いた場所、例えば喫茶店や
  レストランなど で契約した場合も撤回できません。  
 ・保険期間が1年以下の保険契約。
 ・保険会社指定の医師による診査を受けた場合。  
 ・契約者が法人の場合。
 ・加入が義務付けられている自賠責保険や住宅ローンの団体信用生命
  保険などの場合。  
 ・通信販売はこの制度の適用除外となっていますが、ソニー損保や
  アメリカンホーム ダイレクトなどの通販中心の保険会社はクーリングオフ
  できる旨を謳っています。



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