1.利率の高い旅行積立              
   2.負けない株式投資 「塩漬け株」について      
   3.負けない株式投資 保有し続けてもよい「塩漬け株
   4.最近 注目されている金融商品 ”ETF”
   5.身に付けておきたい為替の知識、その仕組みを知る
   6.為替リスクヘッジの仕組みを知る
   .投資信託 5つの誤解!
  
8.投資信託 本当の「儲け」」や「損」はこのやり方で見る!

利率の高い旅行積立について 利子所得に相当するサービス料が非課税

 

毎年、或は定期的に海外旅行やロングステイを計画・実行している人にとっては、資金用途が
明らかになっているため、資金計画が比較的容易に立てられます。そこで、その目的にマッチした
貯蓄が以下に紹介する旅行積立です

 

旅行積立の特徴

 旅行積立は、旅行会社や航空会社等が販売している積立商品です。当商品の一般的な
特徴として、積立コースは月払い・一時払い・普通預金のような自由支払いの3種類、積立期間は
半年〜5年(積立回数は6回〜60回、912通り)、積立金額は3千円(月払い)2千万円まで、
受取利息に相当するサービス額は、年利換算で約1.5%〜約5%が多く、然も利子所得に相当する
サービス額が非課税となっているなど、一般的な金融機関の普通預金や定期預金に預ける場合
より、かなり高利回りの商品と言えます。

また満期においては積立額にサービス額が上乗せされた旅行商品券として発行され、
それを航空券・ツアー代金・宿泊代・JR・私鉄運賃等の旅行関連商品の購入、及び航空会社では
機内販売や直営販売店等の利用も可能となっています。

 

退職者の場合は、退職後の余裕資金を一時払いコースで一括積立てる方法や年金等の一部資金
を月払いとする方法など、旅行先や滞在時期・期間等の目的に合わせた積立期間や積立額を自由
に設定することも可能です。
 また一時払いコースと月払いコースでは、同じサービス額率の場合、満期時の利回りは
一時払いの方が高くお得です。よって、余裕資金が金融機関の普通預金や定期預金等で
預けられている場合は一時払いコースが有利です。

 

 旅行会社・航空会社が販売している旅行積立の条件

・サービス額率(年利換算)、条件等は随時変更されますので事前の確認が必要です。       

 ・サービス額率は、年利換算なので6ヶ月満期コースの場合、年率の1/2のレート設定となります。
又サービス額は、年利単日歩計算又は年利単月歩計算が一般的です。

・サービス額は毎日又は毎月設定(単日歩計算:年利換算レートを365()で除した額、
単月歩:年利換算レートを12(ヶ月)で除した額)されますので日・月単位でサービス額が
増える仕組みとなっています。

・旅行商品券面額は1万円、5千円、千円単位での設定が一般的です。

・航空会社のマイレージカード会員がプレゼントキャンペーン期間中に積立を申し込んだ場合、
サービス額率やマイレージポントが通常より上乗せされる特典もあります。

・各社発行のクレジットカードでも支払いが可能なコースもあります。

 

旅行積立に於ける注意点

 当積立商品は満期日において、現金による払い戻しはできず、旅行商品券に限定した発行
になるため旅行関連以外の用途には利用できません。また中途解約はペナルティーが科せられ、
サービス額が適用されなくなります。

割引購入権代金(積立額+サービス額)の利用期限につきまして、定期積立の場合は、満期後
の利用が10年間ない場合、また自由積立の場合も入金や利用が10年間ない場合、
割引購入権代金利用の権利を失うことになります。 つまり10年間積立口座上で入出金の取引
がない場合、又は受取った旅行商品券を満期後10年間利用しなかった場合は、何れも無効となります。

また当商品は、預金保険制度の対象外であるため募集企業が倒産した場合、
積立額+サービス額共に保証がなくなります。よって、企業の格付けや経営状況等については
常にウオッチしておくことも大切です。





「塩漬け株」 と諦めるまえにすべきことは

 

「塩漬け株」 と諦める前にすべきことは

 上昇を期待しせっかく買った株が、買った途端下がり始め、ロスカット(損切のタイミングも逃し気が付くと株価は、買値の遥か下、しかも長期低迷が続き売りに売れない状態の「塩漬け株」を保有し、株価の上昇を諦めている人はけっこう多いと思います。

  日本経済は「失われた20年」と言われるように、日本の株式市場も1988年
バブル時代に付けた株価の最高値(日経平均38,915)からバブル崩壊後
今に至るまで一方的に下げトレンドが続いています。
 

  しかし米国については、2008年のリーマンショックの影響で一時的に株価
下落したものの急速に値を戻し、現在はリーマンショック前の水準に近く回復傾向
にあります。
 一方日本は火元の米国より回復が遅れ、真逆の動きとなっています。
また日本の株は世界的に見ても“売られ過ぎ”で今も足踏み状態、この状況
はなんとも遣り切れません。

  【日経平均とNYダウ平均の株価推移】
 
 
※出所:筆者作成

 この傾向が「塩漬け株」を生む要因の一つであることは否めない事実
しょうが、今保有している株が塩漬け状態で株価が低迷していても、ある方法
を採り入れることで「魅力ある株」に変身するかもしれません。

【いくら損をしているかは 実質買入株価で見る】
 それは、毎期配当が確実にある企業の株を長期間保有することが第一条件
となりますが、その方法は簡単です。
 現在の評価損益(時価-買入株価)に毎期の配当を含め算出することです。
つまり、実際の評価損益は、時価と買入株価の単純比較でなく、時価と実質買入
株価(買入株価-配当金累計額)を比較してみることです。
そうしないと実際の“儲け”や“損”が正確に把握できないからです。 

 この他、株主優待があり、価額が分る場合はそれも含めて見ます。
例えば、株主優待で受取ったギフトセットの価格が2千円で、購入株数が千株
とした場合、2千円/千株=2円 2円も実質買入株価に含めて計算します。

 のこのように毎期受取る配当金などを記録しておき実質の評価損益
引き直すことで、株価は意外と買入時の株価に近づいていることが分ります。

(事例)A社の株式取得:2002年に1株当たり1000円
 (単位:1円/1株)   
 2003年  2004年  2005年 〜 2010年  2011年
時価  700  600  500  750  760
評価損益 ▲ 300  ▲400 ▲ 500 ▲ 250 ▲ 240
配当金  30  30  30  30  30
実質買入株価  970  940  910  760  730
実質評価
損益
▲ 270 ▲ 370 ▲ 470 ▲ 10 + 30

※買入単価・時価・配当金はすべて仮定の数値として表示してます。



 上の表・グラフはあくまでもシュミレーションですが、2002年にA社の株式を
11千円(千株)で買入れ、2005年には株価が買値の50まで下落しました。
 また10年後、そこから約2割以上戻した時点でも、依然大幅なマイナスです。
しかし、購入時の株価から毎期の配当金を差し引くことで、実質評価損益は改善
しています。

 従って、配当金を受け取っている場合は、毎期、それらを記録し保有している
株の実質評価損を算出してみると、利益に至らないまでもその損失額は思って
いたより少なくなっているはずです。



※続きは、保有し続けてもよい「塩漬け株」の見極め方です。


保有し続けてもよい「塩漬け株」の見極め方


 そのためには、高値掴みした株こそ、その会社の情報や株式相場

の動向を常に把握していることが重要な条件ですが、ここはいかに

損失リスクを最小限に抑えるかが大事で、負けない株式投資に

努めることです。次は「塩漬け株」を「魅力ある株」に変身させるための

見極め方です。

 

投資スタイルは長期保有に徹する

  高値掴みした株については、会社の業績も良く、一定額の配当金が

毎期継続して受取れることが条件ですが、投資スタイルを短くしていた

人も思い切ってここは長期保有(10年間〜15年間又はそれ以上)に変

えてみる決断が必要です。

つまり、長期保有の覚悟を決めたら株価の変動には一喜一憂せず、

焦らず、そしてロスカットも原則考慮しないことです。

 

「塩漬け株」となった時に見るべき 4つの指標  

  現在保有している株が、不幸にして塩漬け状態に至った場合、その銘柄

 が割安であればより有利です。

割安とはその株が“売られ過ぎ”の状況を言いますので、その銘柄を

保有していても、どこかの局面で上昇の余地を残しているため、長期に保有

する価値は十分にあると考えます。

 

バリュー株(割安株)の見極め方については、買入れた銘柄の会社情報

を入手して分析することですが、と言っても機関投資家や一部の個人

トレーダーが行う詳細なファンダメンタル分析やテクニカル分析などは、

長期投資の場合、特に駆使する必要はないと思います。

 

  しかし、その会社のPBR、PER、配当性向、配当利回り、ROE,ROA

株主資本比率、Cash Flow分析などの財務指標は、定期的にウォッチ

しておくことが大事です。

 

これらの指標は証券会社のサイト上で見られますが、次の4項目に

ついては是非おさえておきたい指標です。

と言うよりこの4項目で十分と考えます。

 

 ・PBR(株価純資産倍率)

  企業が保有している純資産(企業が株主から集めたお金(資本金)

営業活動によって得た利益(利益剰余金など))、つまり会社の純粋の

財産額を発行済株式総数で割り、1株当たりの純資産額(株主資本)

と株価の割合を比較した投資尺度です。

式は、「株価÷1株当たりの純資産額」となり、株価水準を測定する

重要な指標となります。PBR1倍はその会社の解散価値と言われて

います。

つまりPBRが1倍の場合、その会社が万一倒産した際、理論上株主に
 その株価で清算できる水準ということです。

2012年7月2日現在、東証1部上場企業の平均PBRは、1倍を割る

水準なので、いかに売られ過ぎが分ると思いますが、もし「塩漬け株」の

PBRが1倍以下に低迷している状況ならば、利益性や成長性等の指標

も考慮しなければなりませんが、その銘柄は「割安」と判断できます。

その際、「塩漬け株」と同業種の平均PBRをチェックし比較すると

より確実です。

 

 ・PER(株価収益率)

   PERは、利益(税引後利益)に対して株価水準が割安なのか割高なの

か判断できる一つの指標で、式は、「株価÷1株当たりの利益」で求める

ことができます。

   この指標の考え方は、現時点の株価が1株当たり利益の何倍まで買わ

れているか、仮にPERが15倍としたら純利益の15倍まで買われていること

になり、「株価」つまり投資資金の回収までに15年かかることを意味します。

  東証1部上場企業の平均PERは現時点で20倍前後ですが、PERの倍率は

高ければ、株価は割高感で、その逆ならば割安感という見方が一般的です。

しかし利益の成長度合の高い会社の場合はPERが高目でも必ずしも割高

とは言い切れません。

ではどの水準で“割高”、“割安”を判断するかは、やはり同業種の平均PER

を参考にして判断する方が極めて有効です。

 

配当利回り

 配当利回りは、「1株当たりの配当金(年間)÷株価」で、預貯金などで言う

ところの利息に当たりますが、“預貯金の利息”は預入元本との比較に対し,
 “株の配当利回り“は時価なので、この指標も
“買入時の株価”や“実質買入
 株価で
計算し直す
方が正しい判断ができます。

この場合、購入銘柄の配当利回りは「塩漬け株」なので、公表されている配当

利回りより当然低い値となりますが、利回りが仮に1%としても預貯金や10年物

国債の金利を大きく上回っているはずです。

 

・配当性向

 配当性向は、「配当金総額÷純利益」の式で求められますが、

1事業年度の営業活動で得た税引後利益額は、通常、配当金・役員賞与・

自己株式購入費・次期繰越金などに使われます。

これは、利益配分のうち、いくら配当金に配分されているかを見る

指標です。

つまりこの比率が高い企業ほど会社の利益を配当金という形で株主

に還元しており、企業の経営姿勢としてどれ程株主を重視しているかの

尺度となります。

この比率は勿論高いに越したことはありませんが、配当金の水準を

毎期同じとした場合、利益額によってその率は変化しますので、必ずしも

細かな数値にこだわる必要はないと思います。

評価の目安としては、同業種と比較して他の会社より大幅に下回って

いれば問題ですが、その比率が仮に低くても配当金が毎期一定額継続して

受取れれば特に問題はありません。

 

株価は細目にウォッチし、業績は四半期毎にチェックする。

 塩漬け状態の株は、兎角興味が薄れ、毎日の株価を見る気も起らなく

なります。しかし買った株を長期保有している間には、株価が急騰・急落

する局面もあるかもしれません。

 実際、株価の推移を会社四季報やネット上などで見たとき、数多くの銘柄
は年初来高値と年初来安値の値幅がかなり大きく動いています。

従って、株の値動きを一日一度、でなければ、少なくとも一週間に一度の

ペースで見ておき、売り買いのチャンスを逃がさないことです。

 また、業績も好調で、これといった悪材料も見当たらないのに“売られ過ぎ”

の状況においては、思い切ってナンピン買い(株価が下がっている時に

買い増し、平均買入株価を下げる)することも検討に値します。

その他、同業他社の情報入手については、この業種を取り巻く経済環境

や業績などを知り、今後の相場の行方を探るうえで重要です。

またその会社の業績については、今期末・来期末の業績予想が前回と

比較し修正されてないか、下方修正されている場合は、特に注意深く見て

いく必要があります。






最近注目の金融商品 「ETF]について


 ETFとは「上場投資信託」、英語名「Exchange Trade Fund」の略称です。

ETFは、世界的に見て約20年、日本においても1995年の取引が開始から

まだ17年と歴史が浅いためか、日本での認知度は今一ですが、「これから

は間違いなく注目されていく金融商品」と言っても過言ではありません。

 

(ETFは株式+投資信託の“いいとこ取り”商品)

 仕組みとしては、株と同じように東証などの取引所で売買される投資信託で、

運用はインデックスに連動することを目標とした金融商品です。

そしてファンド毎に株式銘柄と同じ4桁のコードが付けられ、取引所で取引

時間中、いつでも売買ができ、信用取引、指値注文なども可能です。

 

(純資産残高における市場規模について)

 この金融商品のファンドの数は、グローバルベースで現在約4千本以上と言

われています。日本においては、東証のレポート(2012年6月)によると110銘柄

が上場されています。

 

 純資産残高ベースで見たとき、アメリカの場合、SPDR(ステート・ストリート・グローバル・

アドバイザーズ株式会社)の調査によると、その残高は昨年度、約100兆円以上の

規模に達しています。

 一方、日本の場合は、米国と比べ残高は、まだ約3兆円規模です。

                               

 

(ETFの特徴について)

 ETFは世界的規模で見た場合、4千本以上の商品が上場されていることから、

日本においても、取り扱い本数も今後増加していくことが予想されています。

 それでは、ETFの主な特徴について、主なものを挙げてみます。

●投資信託より幅広い資産クラス(国内外株式、国内外の債券、REIT(不動産
 投信)金、銀、原油、小麦などのコモディティ等)、国別、投資スタイル等、
 その種類や組入れなどはバラエティに富んでいる。

ETFは複数の銘柄をまとめて一括(バスケット)して販売する商品なので

リスク分散が可能。ただ、金、プラチナ、原油、小麦などの商品取引はバス
 ケットでないのが一般的だが、金などは、最近値動きが株式と異なる傾向

(相関係数がマイナス1に近いほど反対の値動きを示す)なので、

これも投資リスクの分散効果がある。

●売買手数料および運用手数料が投信より低コスト。

●少額投資が可能、東証上場のETFの場合、5千円〜1万円以下での購入が

約8割を占める。

ETFにかかる税金は株式と同じで、売買益は譲渡所得、分配金は配当所得

 になる。

ETFの売買方法は株式と同様に証券会社を通じて取引できる。

 

 購入後の相場のチェックについては、東京証券取引所などのHP上でETFの
現在値、チャートなどを確認できます。

 参考までに、以下は東京証券取引所のETFの売上代金上位リスト(2012年5月

の月間)です。因みに、5月の月間売買代金総額は、1,220億円でした。


@TOPIX連動型上場投資信託
A上場インデックスファンド225
B上場インデックスファンドTOPIX
CTOPIXブル2倍上場投信
Dダイワ上場投信-トピックス
E純金上場信託(現物国内保管型)
FSPDRゴールド・シェア

※出所:東証月間ETF・ETNレポートより抜粋





身に付けておきたい為替の知識


 海外旅行での両替、外貨預金・外貨MMF・通貨選択型投資信託など

の外貨建金融商品を購入・売却する際、必ず外国為替が関わってきます。

 

(円安、円高の考え方)

TV・新聞などで見る円安・円高は、一般的に昨日午前10時の時点で

取引されるレート、つまり「直物レート」または「スポットレート」と今日のレートを比べ、

その差をそう呼んでいます。

 

 為替レートがドルやユーロに対して円高あるいは円安というと、例えば、ドル

が昨日78円/1$、今日80円/1$とした場合、今日は2円の円安です。

 

しかし、今日の80円の方が昨日より価値は増加しているので、一瞬”円高”

という錯覚に陥りますが、これは、円貨を対ドルで見ているため円安という価値

で評価されます。

 例えば商品の値段が1$のものを買う時、昨日は78円で買えたのに、今日は、

80円でないと買えない。つまり円の価値が2円下がったので2円の円安、

一方、ドルを対円で見た場合、その立場は逆に、2円分のドル高という考え方です。
 
 次は、円安・円高を損・得で見てみると、日本は輸出関連の企業に大手が多いこと

などからか、全体として“円安”が歓迎されています。従って輸出の場合は“円安”

(例:78円/1$→80円/1)が得です。
 一方、商品などを輸入する場合は、逆に高く仕入れることになるので、円安は“損”

です。

 また海外旅行および旅先でのお土産やブランド品の購入などは“円高”

(例:80円/1$→78円/1$)が得です。

 

(為替レートの仕組み)

また、「為替レート」は、異なる通貨を交換する際に使用(または計算)される

取引の基準となる値段のことですが、通貨の交換は、2国間の通貨だけに止まりま

せん。

日本での基軸通貨(主に国際取引の決済に世界共通で使われている通貨)

米ドルやユーロなどですが、それ以外の通貨、例えば、円と豪ドルの場合は、

直接交換する相場(基準相場)がないので、基軸通貨の米ドルを経由し対米ドル

の豪ドルレートと、対米ドルの円レートを基に計算し直します。
このレートをクロスレートと言い、
その相場を裁定相場と呼びます。

※具体的な計算例1US$=1.0198A$ 1US$=79.52円 ⇒1A$=81.10(1.0198x79.52)
       【基準相場】              【裁定相場】


(為替取引の仕組み)

 私達がよく見聞きするTTB(Telegraphic transfer Buying;対顧客電信

相場)TTS(Telegraphic Transfer Selling;対顧客電信相場)

は、銀行などが外貨を売買するときに使う為替レートです。

銀行などは、外国通貨との交換によって商売が成り立つので、

この為替レートは、重要な商売のツールとしての位置づけとなります。

 銀行は外貨という商品を安く仕入れ(TTBレート)て、高く売る(TTSレート)こと

で儲けがでます。 このレートの仲値を一般的にTTMレート(インターバンクレート)

と呼び、これは銀行間での取引の基準レートを表します。

例えば、1$に対しTTB78円→TTM79円→TTS80円となり、このTTMレートを基準

として顧客に売買するレート(片道1円)が決まります。

為替取引の“主語”は飽くまでも「銀行や両替商」および「外貨」です。つまり、

銀行は外貨を顧客から買うときがTTBレートで、顧客に外貨を売るときは

TTSレートを適用する取引の仕組みです。






為替リスクヘッジの仕組みについて知る


 金融商品に関する“リスク”は、一般的に価格・為替・金利などの変動幅のこと

を言います。為替リスクについては、刻一刻と動いている為替レートの変動幅を

意味しています。

 「為替ヘッジ」、正しくは、「為替リスクヘッジ」と考えらえますが、ヘッジするとは
“回避”するという意味です。

 

為替ヘッジは“金利差”で計算

 

「為替ヘッジは“金利差”」と言われてもピンとこないと思うので、ここで具体的に

その仕組みを説明します。

外貨建ての投資信託や転換社債(CB)など、“為替ヘッジあり”の金融商品のうち、

将来の一定時期加(短期)における償還の際、外貨を円貨に戻す交換レートは、

購入時に金利差をベースに計算されます。

ここでの金利は、主に両国の国債の利回りが適用されており、金利差は文字通り

国債の金利差で求められます。

金融商品購入時、顧客は円貨を売って、直物レート(この時点のレート)

で外貨を買います。それと同時に満期償還時に外貨から円貨に交換するレート

(先物レート)を事前に取決め(金融機関との契約)、確定しておきます。

 

従って、満期償還時に交換する為替レートが購入時に既に分かっているので、

投資期間中の為替の変動に一喜一憂する必要はありません。 
 ただ、例えば円貨と米ドルとの関係において、償還時に予約したレート
(先物レート)と比べ円安に振れた場合、「為替ヘッジはすべきでなかった」と思う
反面、円高になった場合は「ヘッジしていて良かった」と思うはずです。
 

 しかしこれは、実際に大きく得もしなければ、大きく損もしないのが“リスクヘッジ”

つまり“リスク軽減”、これが“為替ヘッジ”の考え方です。

 

先物レートの算出

 

 では、どのような方法で先物レートを算出するのか、次は金利差を先物レート

(予約レート)に置換える、「為替ヘッジ」を求める式です。

 

例: 円金利:1 < ドル金利:2と仮定。

   US$10,000の外貨建投資信託(為替ヘッジあり)、単位型、1年満期

  購入時の為替レート(2012年7月20日)を:80.00/1(直物レート)と仮定。

  ¥800,000 x 1% + 800,000 = ¥808,000 ⇒@

  $10,000 x 2% + 10,000   =  $10,200    ⇒A

    1年後の先物レート(予約レート): 79.22/1 →@÷A(808,000/10,200)

 

 この事例の金利体系では、80万円で外貨を1万ドル買い、1年後1万ドルを売り

79.2万円が手元に残る勘定となります。

因みに、この体系をドルコスト(ディスカウント)、逆の場合(円金利2%>ドル金利1)

は、ドルプレミアムと呼んでいます。

 上の事例では、コストとして為替差損が発生し、逆の場合はプレミアムとして為替差益

が発生します。

 

金融機関サイドの操作

 では、この取引について銀行などはどのような操作をしているかと言うと、

次のような仕組みとなっています。

為替のスワップ取引のイメージ図

  買い(TTB)       売り(TTS)    
  直物     A市場取引
   10,000ドル
   ¥80.00/1$
  @顧客取引
   10,000ドル
   ¥80.00/1$
  先物    @顧客取引
   10,000ドル
   ¥79.22/1$
  A市場取引
   10,000ドル
   ¥79.22/1$

※上の表は計算上TTB-TTSなどのレート差(スプレッド)は考慮していない。

また、このスプレッドは、プレミアム・コスト(ディスカウント)何れも顧客に帰属する。

@銀行は、顧客に直物で10,000ドルを売り、同時に顧客と将来の一定

 時期(短期)に先物で10,000ドルを買い戻す約束を行う。

A銀行は、@と同時に、顧客から購入した円貨を売って、直物で市場から

10,000ドルを買う、それと同時に先物で10,000ドルを売る約束を行う。

これらの操作は、売りと買いをバランスさせ、資金面での過不足を無くす

こと、それと同時に為替リスクを回避する狙いもあります。

 

最近注目の通貨選択型投資信託の留意点

 通貨選択型投資信託は、投資対象となる外貨建ての株式や債券などの他に

通貨も選択できる商品のことを言います。

これは、例えば、比較的利率の高いブラジル・レアルやオーストラリア・ドル

などの通貨を選択した場合、一般的に為替ヘッジを利用するので、為替変動に

よるリスクを防ぎ、金利収入だけを確保できる仕組みです。

 しかし満期償還時など円貨に戻す際には為替ヘッジの仕組みがないので、

この点注意が必要です。

 つまり通貨選択型投信で金利収入は得たものの、償還時に購入時より円高

になっている場合、金利で得た収入を上回る為替損失を被るリスクも

あります。

この場合は、為替水準にもよりますが、償還時に円貨に換算せず円安になる
のをじっと待つ必要があります。そのためには、事前に償還時の外貨を自動的に
外貨口座
に入金する選択をしておくことが必要です。





投資信託 5つの誤解!


 日本国内で1年間に販売されている投資信託のうち、ファンド数で※約1万8千本、
販売総額は約69兆円で、この額は日本のGDP
(国内総生産)の約15%,国家予算
の約76%に相当する規模となっています。

 しかし個人の金融資産で見た場合、投資信託の構成比は僅か6%に過ぎず、
50
%を超える現金・預金と比べてもそれ程多くないのが現状です。

  投資信託は個人の資産運用において「銀行の普通預金や定期預金は安全
だけれど、ゼロに近い金利なので個人資産はまったく増えず、とは言っても株式
はどの銘柄に投資してよいのかも分らず、また騰落幅も大きいのであまりリスクは
取りたくない」という人にとって最適な金融商品です。

投資信託は現金・預金と違い元本は保証されないリスク資産ですが、少額
からの購入が可能で、運用についても資産運用のプロが株式や債券などに
分散投資した利益を投資家に還元する仕組みとなっています。

  投資信託の仕組みやリスクについては、銀行や証券会社の窓口担当者など
から説明されるのである程度理解している人は多いと思われますが、購入する
前に次の5つの項目は是非知っておきたいものです。

 
※ファンド数については複数の販売業者が同一の投資信託を販売している
場合があるので実数は異なる。(H23/9の金融庁のレポートによる)実際には
4〜5千本の投資信託が販売されている。



 1.毎月分配金は多いほど得!
  収益分配金は、投資家から集めたお金を株式や債券などで投資し、利子・
  配当金や売買益などを投資家に還元するお金です。

  
毎月の収益分配金は1万口当たり30円、50円、100円など、受取額が多い
  ほど個人資産が増え一見ハッピーですが、実際は運用成績が目指して
  いる収益額に達成していなくても当初謳った分配金額を維持するファンド
  が多く、結果として、未達の収益分は※基準価額から差し引かれるため
  投資額、つまり元本も減少します。

  よって分配金は必ずしも多いのが得とは限りません。
 

 ※投資信託を株式投資に准えてみれば、基準価額は株価で、口数は一般
  的に1万口単位ですが株数と考えれば分り易いと思います。

  ただ、収益分配金は、上で説明のとおり株式配当金(権利落ちにより株価
  が下がる場合がある)とは若干性質が異なります。

  2.毎月分配金はすべて“儲け”!
分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類あります。
普通分配金は運用成績が目標収益額或はそれ以上に達成した場合は、
一般的に投資した元本(個人が投資したお金)を上回る、つまり利益

として10%が課税され、税額控除後の額が“儲け”となります。
一方、特別分配金は@で説明のとおり,言わば見せかけの分配金です
ので当然非課税となっています。 

分り易く言えば、これはタコが自分の足を食べる「たこ足配当」のような
ものです。
従って特別分配金は元本を単に取り崩して配当に充てているだけで
“儲け”ではありません。

このように、特別分配金は“儲け”ではないが、これは必ずしも悪い
ファンドということではありません。

その理由としては、将来的に運用成績が上がり、基準価額も上昇して
いけば、普通分配金に替わる可能性があります。
そのためにはファンドの運用状況を中長期的に常にウォッチして行く
必要はあります。
                          

3.解約が多いと基準価額は下がる!
  
基準価額は、例えば、設定時、投資家から集めたお金÷総口数で求め
られますが、解約と同時に口数と集めたお金も減少するため、基本的には
解約が多いことで基準価額が下がることはありません。基準価額が変動
する要因は、投資対象の株価又は利息・配当、為替などの増減や運用管理
費用(信託報酬や管理報酬)などの手数料です。

 4.純資産残高は多い方が良いファンド!
これは純資産残高が多いほど一般的に売れ筋ファンド、人気ファンドと言われ、
投資家から集めたお金が多いことを意味します。ただ、純資産残高が多い
から基準価額も高いということはなく、また5〜10年先の運用成績が今後も
好調に続く保障もありません。

また純資産残高が多いと、例えば株式投資で発行済み株式数や浮動株が
少ない小型優良銘柄などのファンドを組み入れた場合、多額の運用資金では
購入し切れないので十分な投資成績を上げることが難しくなります。

つまり純資産残高が多いと投資対象は制限されるので必ずしも思った以上
の運用成果を上げられないファンドもでてきます。
 

  5.通貨選択型投資信託なので為替リスクがない!
これは、例えば、比較的利率の高いブラジル・レアルやオーストラリア・ドルなど
の通貨を選択した場合、一般的に為替ヘッジを利用するので、為替変動に
よるリスクを防ぎ金利収入だけを確保できる仕組みとなっていますが、
満期償還時など円貨に戻す際にはこの仕組みはないので、償還時に購入時
より円高になっている場合、金利で得た収入を上回る為替損失を被るリスク
が考えられます。

この場合は、償還時に円貨に換算せず円安になるのをじっと待つ必要が
あります。






投資信託 本当の「儲け」や「損」はこのやり方で見る!

運用実績の正しい見方

 

購入した投資信託が、「一体いくら儲かっているか、いくら損をしているか」、実際の損・得は、定期的に発行される「運用報告書」、「収益分配金明細書」またはWebサイト上の「時価評価明細」などからでは分らないのが一般的です。

その理由は、銀行や証券会社が表示している「評価損益」を計算する税制上の仕組みにあります。

 

銀行や証券会社が表示している「評価損益」計算の仕組みとは

 

証券会社や銀行などの「評価損益」の計算においては、先ず、「取得価額」は元本ですが、追加購入額や分配金の再投資額なども含まれます。そして、その「取得価額」から「特別分配金額※1」がある場合は、その額を差し引き、その額と「現在評価額」との差額を損益額として表示されています。

つまり、「評価損益」「現在評価額2」−(「取得価額」−「特別分配金」)で計算されます。

 

1.「特別分配金」を差引く理由は?「特別分配金」は本来個人が投資したお金(元本)を単に取り崩して配当に充てているだけなので“損”として扱われるためです。

よって、この分配金は普通分配金と異なり非課税となります。

 

2.「現在評価額」は「保有口数」x「基準価額」で計算されますが、現時点で投資信託を売却する場合の受取金額となります。

「保有口数」の単位は1万口を1口として表示・取引されるのが一般的で、株式でいう「株数」、また「基準価額」は「株価」をイメージすると分り易いと思います。

 

 

本当の「儲け」や「損」はお金の“出”と“入り”で見る!

 

  まず、お金の“出”は、投資信託の購入額(分配金再投資額、追加投資額含む)と購入に関わる販売手数料を投資元本と捉えます。次に、お金の“入り”は、上述の「現在評価額」と受取分配金の累計額です。つまりこの差額が本当の「儲け」や「損」となります。

 

  ここで、分配金については、税引後の「普通分配金」と「特別分配金」の受取累計額です。

「特別分配金」は上で説明の通り、“損”として処理されていますが、実際はキャッシュフロー上消えていません。よって、「特別分配金」もお金の“入り”として計算すべきです。

 

尚、信託報酬・信託事務諸費用など期中に掛る手数料については「基準価格」で調整しており、キャッシュフロー上で影響を受けないことからこの計算には含めません。

 

  このように、本当の“儲け”や“損”を知るためには、銀行や証券会社発行の評価明細書等と受取分配金の累計額や分配金の再投資額など(メモっておく)をベースに、実際のお金の“出”と“入り”を項目別に分類しておくことが必要です。

 

計算の事例

 

仮に毎月分配型投資信託を5,000,000円で購入し、収益分配金は再投資せずに毎月受取るとした場合。またこの明細表は便宜上、年間の運用結果としています。



※この記事はWeb情報誌「マネーの達人」に寄稿されています。



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